コーディネート作品タイトル
CREATOR
夏の暑さや喧騒が静まり、空気に透明感が増す季節。
「形なきものの形を見、声なきものの声を聞く」のは、まさにこの季(とき)。
王朝の歌人は、この季に吹き渡る風を「色なき風」と表現しました。
艸田正樹さんの脚付き酒盃に吹き渡る「色なき風」を和モダンのしつらいで楽しみます。
酒杯には「雨降りの国」の銘があり、同じ作者の器「月の輪」と呼応します。
目を閉じて、想像してみてください。
美しい夕焼けが広がり、昼間の暑さが少しやわらぐ土曜日の夕刻。
友人を招き、四人でテーブルを囲みます。
きりりと冷えた日本酒が「ちろり」から艸田さんの酒杯に注がれます。
一献の量が、なんとも良い加減。
暮れなずむ空を映していた酒器は、日没と共に、灯りの下で、不思議な波紋を描きます。
刻の流れと酒器のきらめき。
テーブル席でも伝統的な工芸や折敷を使い、しつらいに物語を取り入れる楽しみが、
和モダンコーディネートの魅力です。