漆は塗り重ねるたびに空気も積み重なり、それを研ぎ出すことは色の層と共に重なり合った周囲の音や匂いまでも磨き出すようで、そこに重ねてきた時間をも感じさせます。その美しさを表現できるのは、私が魅力を感じている箱という形体であると考え、日々の出来事や思い出などをモチーフに表現を試みています。
この作品では、雪の降り積もった夜の景色をイメージして制作しました。舞っている蝶々は、雪の景色を楽しみながら春の訪れを待ち、箱の内側には次の季節の春に咲く花たちが、雪の下で咲くのを楽しみにしている様子をイメージしています。
制作年 2020年
材質・素材 漆、檜、夜光貝、金、銀、卵殻、顔料
主な技法 螺鈿、卵殻、蒔絵