私は、化粧と漆を通して「人間の本質とは何なのか」ということを追求している。
そして、化粧と漆が持つ「美しく粧う」こと、「覆い隠す」という二面性に親和性を感じている。
唇は、人特有の感情表現をする器官として様々な造形を持っている。
幸福、怒り、悲しみ、愛憎など複雑な人間の感情は、人が人たる所以として欠かすことのできない魅力だ。
漆も化粧も「磨きをかける」という行為において、私にとって自分と向き合い、自分を高めていく時間である。
自分の外側に意識が向きやすい現代社会において、自分の内側と向き合い、知ることがより豊かに生きるために重要だと考えている。
制作年:2021年
材質・素材:麻布、漆、金箔
主な技法:乾漆技法
第78回金沢市工芸展 金沢市長最優秀賞