新型コロナウイルスの感染拡大防止のための自粛期間では、これまで当たり前のように会場で作品が実見できた環境が一変し、オンライン展示などが試行がされるようになりました。その中で自分の作品を展示する意味や目的について改めて考えさせられました。
そんな自粛期間中に制作したstay homeのためのカップ(ぐいのみ)です。
私は作品にはほとんどの場合実用性を持たせていませんが、stay homeのためのカップは液体を容れることができます。普段の制作では土をひも状に伸ばし撚り合わせたものを、下から積み上げて成形します。カップの制作はさらに、そのままだと隙間が空いて液体が漏れてしまうので、内側に色土の泥を塗り、釉薬をかけて焼成しています。とても遠回しな技法です。やきもののうつわの始まりは、編み上げた籠に泥を塗り焼成したものだったという説を聞いたことがあります。もしかしたら原始のやきものの追体験なのかもしれないと自分を励ましながら制作するうつわです。