白い素地に赤や金を使って細やかな絵柄を描き込む、九谷焼の三大技法である赤絵細描を用いた吉村茉莉さんの蓋物です。
機械では描くことのできない繊細な線を一本一本描くことで生み出される赤絵細描。絵の具の濃淡が立体感を表現しており、平面ながらも奥行きを感じさせます。これからを担う赤絵細描の担い手として注目を浴びる作家の一人でもあります。
万華鏡や植物、蝶、時には女性の体のパーツなどをモチーフにして生み出される独自のデザインや、時に用いる様々な色と、九谷焼の伝統的な技法を見事に融合させた彼女ならではの赤絵細描が魅力です。

現代の食卓から離れつつある漆のうつわを、主に若い人を中心に、気兼ねなく愛用してもらえるように、現代の生活に寄り添う形や、普段使いに耐えうる塗面の工夫、食卓に彩りを与える加飾などを考え制作されています。
柔らかく温かみがあり、すっと手に馴染むうつわをめざし、そして日本の文化である漆の良いところを充分にいかし、うつわを通して漆の魅力を人に伝えたいと考え制作されています。
加飾は、漆を塗った面に錫紛などの金属粉を蒔き、針で引っ掻く『針切技法』を用い、模様には日々目にする野の花が、短く儚い一生の中で見てきた周りを取り巻く風景の記憶を描いています。
ご自身でデザインした木地も多く、必然的に加飾との相性も高まり、ご自身が目指す美を実現されています。
漆の作品とはいうものの、漆を塗り、錫粉を施し、針切技法で加飾された作品は、漆芸作品という表現では納まらない雰囲気を纏った作品になっています。

自然から受け取る印象や心象風景を彫金や象嵌などを用いて表現・制作しています。日々過ごす中に息づく感動、またそれに触れた人の”心のかたち”などからインスパイヤされているというのは、彼女の作品を見ていると納得させられます。ひとつひとつの作品に様々な表情が散りばめられていて、どれもこれも異なった物語を届けてくれます。
清く美しく、そして何よりも凛とした彼女の内面性が作品に乗り移り、我々の心身までも浄化してくれる様な気さえします。

蝋を原型に金属に置き換える”蝋型鋳造”という技法を用いることにより、金属でありながら柔らかく有機的な表情を創り出せるのが特徴です。こちらの作品は高錫青銅を”蝋型鋳造”で巧みに操り、自在にそして繊細に創り出される森や自然を感じるオブジェ作品で、森の一部を切り取ったかのような造形が特徴的です。
彼は、作品そのものと、それに触れた人たち自身、またその周囲の物事が「確かに存在している」と実感できるものを目指し制作しています。目を奪われる、心奪われる、そういったインパクトを残そうという想いが彼の作品からは伝わってきます。

近年、カマキリ、クワガタ、カブトムシなどのオブジェで一躍注目を浴びている若手作家です。
幼い頃から、そして今も昆虫が大好きで、山や田んぼでの昆虫採集、自宅での飼育など、彼にとって昆虫とは、沢山の知識やアイディアをくれた特別な存在です。その昆虫から制作のヒントをもらい日々作陶されています。造形的な美しさや構造的な面白さなどを作品に溶け込ませることで、自分独自の表現を目指しています。